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【マギ*】 暁の月桂

第14章 霧の団


盗賊団との闘いが終わり、夜は明けた。

朝になり、日の光が射し込んだバルバッド国内には、その日、大きなニュースが流れた。

『霧の団』のリーダー、『怪傑アリババ』が、バルバッド王国第三王子であり、単身王宮に乗り込んだという、そのニュースは、あっという間に国中に広がった。

太陽が真上に来る頃には、王と反政府リーダーとの会談に未来への希望を託した市民が、王宮の前に集まり、広場を埋め尽くすほどに膨れあがっていた。

民衆は、ずっと王宮に向かって『アリババ』の名を叫んでいる。

王との会談に出掛けたアリババたちを見送ったハイリアたちは、民衆でごった返している王宮の広場の中で、会談の成功を祈りながら、彼らの帰りを待っていた。

アリババは、とても緊張していたけれど、強い意志を秘めた眼差しを王宮に向けて、シンと共に城の中へと入っていった。

王宮の広場で、民衆の声を聞いているだけで、民がアリババに寄せている期待が、痛いほど伝わってくる。

自分が王と会談できるわけではないというのに、この声を聞いているとなんだかとても緊張した。

「アリババくん、大丈夫かなぁ? 」

そわそわしながら、アラジンが言った。

「こんなに国民に指示されているようですから、きっと大丈夫です……」

モルジアナが言った。

「そうよ、王様の後押しまであるんだから! この声援も、アリババくんに届いているといいわね」

「そうだね……」

アラジンは頷いた。

みんな落ち着かない気分なのは、一緒だった。

会談は上手くいっているだろうか。

これだけの人が成功を望んでいるのだから、国王に願いが通じて欲しい。
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