第28章 緋色の夢 〔ⅩⅢ〕
「何言ってんの? だ、か、ら、行こうよ。僕だって色々聞きたいことあるしぃ~。じゃないと、このまま炎兄になんて報告すればいいかもわからないじゃん」
「ね? 」と、隣にいる真っ白な少女には特別優しく笑いかけて、紅覇がその腕を引く。
「ほらぁ~、そうと決まれば君も早く立ってぇ~! 行くよ~! 」
「でも、マギが……」
「大丈夫だしぃ~。どうせ僕らが行けば、ついてくるから。ジュダルくんは、約束を破るなんて格好の悪いことはしないよ。ねぇ~、ジュダルくん? 」
ちらりとこちらを伺いながら、紅覇が困惑している少女と腕を組んで外廊を歩いて行く。
なんだかあいつにうまく釣られているようで気に入らないのに、遠くなっていくその姿を見ているのは、どうももどかしい気分だった。
焦らされるような感覚に耐えられずに重い腰を上げると、足が勝手に前へと歩み出た。
それをみて可笑しそうに笑った紅覇から目を逸らすように見上げた空は、バカみたいに晴れていて、広く青いその色に、何かがスッと吸い込まれていく感じがした。
つかえていたモヤつきが軽くなったような感覚に、やっぱり面白くない気がして前を向けば、さっきよりも少し遠くなった二つの背があって眉を寄せる。
遠ざかる並んだ背を追う歩調が早まって、無意識にその距離を詰めていた。