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【マギ*】 暁の月桂

第4章 オアシスの異変


あの時は、とにかく、バルバッド行きのキャラバンを捜していた。

ようやくこのキャラバンを見つけて、必死に追いかけたのを覚えている。

無理矢理馬車を止めたことを、怒られはしたけれど、頼み込んだらこのキャラバンの人達は、わけも聞かずに温かく迎え入れてくれたから、とても嬉しかった。

だから、せめてもの恩返しとして、今は一生懸命みんなのために働いているのだ。

「そういえば、モルジアナも似たようなもんだったよな! 急に飛び出してきて馬車を止めてさ」

「ああ、本当ね。二人ともそっくりだわ」

クスクスと笑うサアサとライラをみて、ハイリアも笑顔を浮かべた。

本当にそっくりだ。キャラバンに入れてもらった、経緯といい、目的地といい、自分たちはよく似ている。

モルジアナが仲間に入ってきた時は、ハイリアがキャラバンに入って一カ月もたたない頃だった。

次のオアシスに向かっていた馬車が急に止まったので、何事かと思い外を見ると、道行く馬車の前に、赤毛の女の子が立ちはだかっていたのを覚えている。

彼女もバルバッド行きのキャラバンを探して、このキャラバンを見つけたようだった。

モルジアナは、バルバッドへ何をしに行くのだろうか。彼女から聞いてみたことはないけれど、興味はあった。

ただ、自分も多くは語れないから、深くは聞けない。

もしも、自分と同じ目的だったら、偶然すぎて笑ってしまうだろうけれど。

サアサとライラの話を聞きながら、モルジアナもキャラバンの入ったときのことを思い出していたようだった。ぽつり、ぽつりと話し出す。

「はい……あの時は、突然馬車を止めてしまい、すみませんでした。このキャラバンがバルバッドへ向かうと聞いて、飛び出してしまったのです。
それから、見ず知らずの私をここまで乗せてくださって……、本当に感謝しております」

お礼を良いながら、荷を置いたかと思うと、モルジアナは急に地面に座り込み、ビターッと地に伏せて、頭をつけながら、盛大なおじぎをし始めた。

その突然の行動に、ハイリアだけでなく、サアサ、ライラも慌てふためく。

大丈夫だから、頼むから顔を上げてくれとライラに言われ、ようやく顔を地面から上げたモルジアナに、一同安堵した。
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