第19章 緋色の夢 〔Ⅳ〕
「何をしている、ハイリア。虫さされではないぞ」
「え……? 違うんですか? じゃあ、なんで隠せだなんて……? 」
「あの、だな……、ハイリア。……あいつに何かされなかったか? 」
「え……、ジュダルに? 何か……」
言いながら、だんだんと先程の羞恥を思い出してきて、急激に頬が熱くなるのを感じた。
―― まさか、まさか……!?
吸われた首筋の感覚を思い出して、体が火照った。
慌ててどこだかもわからない首筋を押さえ込み、急いで髪留めを外して長い白髪を下ろした。
肩にかかるように髪を撫で下ろしていた時に、胸上にも薄く赤い痕がついていることに気づき、急いで服をたくし上げる。
ぼうっとしていたせいか、気づけなかった自分に恥ずかしくなる。
「これは……、その……」
「言わなくていいぞ、ハイリア。あのバカは何をやっているのだ……。あいつの勢いにのまれて、誤って奪われるようなことにはなっていないだろうな? 」
「奪われ? え……?! 」
突然、驚き固まったハイリアを、紅炎は驚いて見ていた。
「まさかとは思うが、ハイリア。わかっていなかったのか?! 」
「だって……、そういうことは付き合ってから起こることじゃ!? 」
「そんなわけないだろう! もう少し大人になれ、ハイリア! 」
紅炎にきっぱりと言われ、ようやくジュダルの言っていた意味がわかってきたハイリアは、顔を真っ赤に染め上げた。
とたんに先程の行為がよけいに恥ずかしくなってきて、顔を手で覆い座り込んだ。
「どうしよう……、紅炎様。私、もうジュダルと会えません……」
恥ずかしすぎて、穴の中にでも入ってしまいたかった。