第19章 緋色の夢 〔Ⅳ〕
耳の内側から外に沿って、ゆっくりと撫ではじめた彼の指の感触がくすぐったくて、悶えそうになる。
繰り返される妙な刺激に足掻き、耐えようとするが、堪えきれずに身がよじれ、ビクンと体が震え上がった。
ぞくぞくとする感触はなくなるばかりか、撫でられるたびに強くなる一方だ。
くすぐったさに息がつまるせいで、呼吸がうまくできずに、息が荒れていった。
顔は火照り、なぜか体も熱くなっていく。
よくわからない声が、息の切れ間に漏れ出しそうになって、慌てて口元を手で押さえた。
片手が本で塞がっていることが、もどかしく感じた。
「声だせよ、ハイリア」
耳元でささやかれたジュダルの声に、体がビクンと跳ねた。
なんだか悔しくて首を横に振る。
「意地っ張りだな」
囁かれた耳元に、熱くぬめりのあるものが当たった。
外側を上から下へ這う、さっきとは違う刺激に、ハイリアは体をそらせた。
ぞくぞくと走る感触が恐くなって、逃れようと身をよじらせたが、いつの間にかジュダルの腕が絡んでいて、うまく動けなかった。
足掻いても刺激が途絶えることはなくて、息が上がる。
耳の下部を柔らかいものが覆い、弱く刺激されると、ビクリと身体が跳ねた。
ジュダルの吐息があたるだけで背筋が震えだし、熱くて頭の中がぼんやりとしてきた。
彼に耳を悪戯されているだけだというのに、なんだか体がおかしい。
口元から手を放しでもしたら、堪えている妙な声が漏れてしまいそうだった。
耳の中腹を柔らかく噛まれ、また体が跳ねた。
一瞬、力が抜けて、持っていた本が手元から滑り落ちた。
バサバサと騒がしい音をたてて地面に落ちたのが聞こえたが、手を伸ばす余裕はない。