第18章 緋色の夢 〔Ⅲ〕
「おまえが物珍しい格好をしているから、皆に見せてやった方がいいと思ってな」
紅炎はうっすらと笑みを浮かべて言った。
「せっかくお綺麗なのですから、神官殿に見つかる前にと思いまして」
紅明は穏やかながら楽しそうに笑っていた。
わざと書簡を渡してきたらしい二人の皇子の陰謀を知って、ハイリアは表情を引きつらせた。
よくよく考えてみれば、白瑛の部屋と、紅覇の部屋は真逆に位置する場所にある。
双方への移動となれば、中庭に近いこの場所を中心に、宮廷内を歩き回ることになるのだ。
「お二人とも、面白がっていますねぇ! 」
「紅玉との約束は書庫にこもらないことなのだろう? あまりここにいると知らせるぞ。明日もその格好でいたくないのならば、さっさと仕事をすませてこい」
「紅覇にも見せてやって下さい」
「もー! なんでそういう意地悪をするんですか! 」
微笑を浮かべる両皇子を見て、ハイリアはむくれながら、書簡を抱えて書庫を後にした。