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【マギ*】 暁の月桂

第18章 緋色の夢 〔Ⅲ〕


「しかし、あれほど嫌がっていたおまえが、そんな格好を好き好んでしているわけでもあるまい。何があったのだ? 」

勘の良い紅炎に聞かれ、ハイリアが事情を説明すると、豪快に笑われた。側にいる紅明までが、つられて笑っている。

「紅玉も中々やるな! 今度は俺と賭けるか? 」

「紅炎様!! 」

「私でもかまいませんよ、ハイリア殿? 」

「紅明様まで!! 」

顔を真っ赤にしてむくれているハイリアをみて、二人はまた笑っていた。

「もう絶対、賭けごとなんてしません! 」

「それは惜しいな。これからずっとその格好で過ごしたらどうだ? 」

「そうですね。宮廷も華やかになりますし、いいと思いますよ」

「いやですよ、着慣れてなくて落ち着かないですし……。だいたい、こんな格好でいつもいたら、ジュダルを追いかけられませんよ。誰があの傍若無人の神官を止めるんですか!? 」

これが毎日続いたらなんて、考えるだけでも頭が痛くなりそうだ。動きにくくて、ジュダルの暴走を止められる気がしない。

「ただでさえ遊び回っているジュダルですけど、最近は本当に困ってるんです!
やたらとくっついてくるし、かまってやらないとイライラして八つ当たりしてきて、用もないのに何度も私を呼び出しては無駄に連れ回すんですよ!
仕事の邪魔ばっかりして、振り回されっぱなしなんです。こんなひらひらの着ていたら、何もできませんよ! 」

ハイリアが口調を強めて言ったとたん、紅炎と紅明は黙り込んだ。

紅明はなぜか気まずそうに視線を逸らすし、紅炎は呆れた様子で溜息をついていた。

―― あれ? 私、何か変なこと言った?

妙な反応をする皇子と、いつもと違う空気にハイリアが戸惑っていると、紅炎が言った。

「……ハイリア。おまえは、ジュダルをどう思っているのだ? 」

「どうって……、やたらと絡んでくる困った上司でしかないですよ。なんでそんなことをわざわざ聞くんですか? 」

質問された意味がわからないといった様子で、ハイリアはきょとんとしていた。
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