第17章 緋色の夢 〔Ⅱ〕
「ありがとう、ジュダル。私、あなたと一緒にこの国に来てよかったわ! 」
ハイリアが言うなり、ジュダルは目を見開いた。
「なんだよ、急に!? 気持ちわりぃーこと言うんじゃねーよ! 」
お礼を言われ慣れていないのか、ジュダルは戸惑った様子で、急に顔を赤らめ始めた。
意外な彼の反応に、ハイリアはくすりと笑いながらジュダルの腕を引いた。
「ねぇ、ジュダル。今度は、あのお焼き食べようよ! 」
人が並んでいる美味しそうな店を見つけて、ぐいぐいと腕を引っぱり始めたハイリアに、なぜかジュダルは抵抗し始めた。
「バカ、あの店はやめろ! 」
「なんでよ? ジュダル、肉饅頭とか好きじゃない」
「でも、あれはマズイんだよ! 」
急に意地でも、前に進もうともしなくなかったジュダルに、ハイリアは呆れた。
「どうしたの? あれ美味しいんだから! お肉も野菜も沢山入ってるのよ? 」
食べればきっと気に入るはずだと、腕を引くハイリアに、ジュダルは顔を真っ赤に染めあげて叫んだ。
「だから、嫌なんだよ! 」
「は? 」
「だから、俺は、野菜が大っ嫌いなんだ!! 」