• テキストサイズ

【マギ*】 暁の月桂

第17章 緋色の夢 〔Ⅱ〕


まさか、おサボり大魔王から、こんな言葉が飛び出すなんて思わなかった。

ハイリアが笑い声を上げると、笑われたことが不本意だったらしいジュダルは眉を寄せていた。

「……おい、何がそんなにおかしいんだよ? 」

「ごめん、ごめん! でも……、あっははは!! ジュダルが、そんなこと言うなんて! 」

可笑しくてお腹が痛かった。

「んだよ! 少し心配してやれば! もう言ってやんねぇー! 」

笑い続けるハイリアに、ジュダルは不満そうな表情を浮かべて、露店の並ぶ街の奥へと、一人ずんずんと歩調を早めた。

置いて行かれそうになって、ハイリアは慌てて彼を追いかける。

「ちょっと、ごめん! 待ってよ、ジュダル! 」

「知るかよ! 」

「笑って悪かったってば! 」

ジュダルは、本当に笑われたことに相当拗ねてるらしく、屋台に並ぶ人混みをすりぬけて、どんどんと奥へ行ってしまう。

普段、自分に嫌がらせをする時は、何とも思っていない癖に、人にされるとすぐこれだ。全く、本当に自分勝手で、困った人だ。

見失ってしまいそうなジュダルの手を、腕を伸ばして掴むと、ハイリアはぐいっと体重をのせて引っぱった。

伸びた腕で体が揺れて、後ろにひっくり返りそうになった彼は目を丸くしていた。

「危っねぇーな! 何しやがる!? 」

「だって、はぐれちゃうでしょ? 」

しかめっ面のジュダルに向かって、ハイリアがにっこりと笑ってみせた。
/ 677ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp