第17章 緋色の夢 〔Ⅱ〕
「来い、ハイリア! 俺が街を案内してやる! 」
ジュダルが階段を駆け下りた。
あんまり勢いよく駆け出したから、危うく階段で転びそうになった。
足がもつれそうだというのに、やんちゃな神官様は、止まってくれそうにない。
その背中を見ているだけで、子どものように無邪気にはしゃぐ、彼の表情が見えるようだった。
いつも通りの、自分勝手な振り回しように呆れてしまって、だんだんと怒りは薄れていった。
―― 本当に、仕方がない神官様だ……。
ハイリアは手を引かれながら、近づいてきた賑やかな街の灯りを見て、笑みを浮かべた。
いつもはいい迷惑だけれど、今日ばかりは付き合ってあげてもいいかもしれない。
嬉しそうに駆けるジュダルと共に、ハイリアも煌の街なかへと飛び込んでいった。