第16章 緋色の夢 〔Ⅰ〕
突然、大きな爆発音と共に、爆風が馬車を襲い、気づけばハイリアは馬車の外へ投げ出されていた。
とっさに受け身を取ったおかげで、無傷だった。
しかし、馬車の荷台は倒れ、エレンとカレンも横倒しになって倒れている。
「エレン! カレン! 」
駆け寄った二頭に、息はあり、倒れた馬車の荷台で怪我をしている様子もみられなかった。
驚いて気を失っているだけだ。
今の爆発はいったいなんだろうか。みんなは無事なのか。
不穏な空気を感じて、両腕についた二対の銀の腕輪を握りしめた。
「エレン、カレン。ごめん、私……。やっぱり様子を見てくる! 」
気を失っている二頭の馬に声をかけ、ハイリアは燃えさかる村へ向かって走り出した。