第15章 暗夜の再会
赤い炎が迫る中、ハイリアは思った。
なぜ、待ってくれないのだと。
だって、知っているんだ。
確かにジュダルは悪いけれど、すべてが彼のせいじゃないんだって。奴らがいるせいなんだって。
彼にだって、少しくらい良いところがあるんだ。
だから、何も消してしまうことはないじゃないか。
迫る熱気を感じながら、ハイリアが死を覚悟して目を閉じた瞬間、懐かしい声が頭に響いた。
『ハイリア、お前は生きろ!! 』
ハイリアは目を見開いた。
そうだ、まだ死ねない。諦めちゃいけない。
だって、約束したんだ。そして、もう決めたじゃないか。
彼を、ジュダルを、助けるようって決めたじゃないか!
「うわぁああああ!!!! 」
ハイリアが決死の覚悟で叫びを上げたとたん、彼女から純白のマゴイが吹き荒れた!
立ち上った光は、巨大な熱の光とぶつかり合い、大きな爆発音を轟かせた。
赤と白の光がぶつかり荒れる中、ハイリアの光の渦が、振り下ろされたウーゴの熱魔法を押し戻していた。
ハイリアの光が勢いを増し、ウーゴの熱魔法の勢いを削っていく。
白い炎が、赤い炎を蹴散らしていくようだった。
純白の光が、巨大な熱をのみこんで、消していく。
弱まり、小さくなった赤い光に、ハイリアが安堵し始めたとき、突然、口の中に鉄の味が広がった。
ぽたぽたと、流れ出た血が、抱き上げていたジュダルの頬に落ちたのが見えた。
マゴイの限界だった。
もう少しだけ待って、と思うのに意識が遠くなってきた。
純白の光が淡くなり、赤い炎が勢いを増した瞬間、周囲に大きな地響きのような衝撃が起こった。
鼓膜が破れるような爆発音が遅れて響き、辺りに熱風が吹き荒れた。
吹き飛ばされそうなほどの風が、ハイリアの髪をなびかせたが、不思議と痛みはこなかった。