第15章 暗夜の再会
皆が、唖然とする中、ウーゴに握りつぶされたジュダルが、床に崩れ落ちた。
ジュダルはぴくりとも動かない。意識も失っているようだった。
凄まじいウーゴの力を目の当たりにして、その場にいる誰もが息をのみ、立ちすくんでいた。
ジュダルが倒された。
信じられない出来事が起こり、ハイリアは困惑した。
争いの芽は途絶えた。けれど、彼は無事なのだろうか。
いくら『マギ』だからって、あんな大怪我をして平気でいられるはずがない。
アラジンのジンであるウーゴは、なぜかすでに意識を失っているジュダルの前に立つと、両手を振り上げていた。
その手に赤い光りが集まり始めたのを見て、ハイリアは愕然とした。
「ウーゴくん!? ウーゴくん!? 」
ウーゴは、驚き戸惑うアラジンの呼びかけにも答えようとしない。
そうしている間にも、ウーゴの手に宿る赤い光はどんどん膨れあがり、熱を帯びながら大きくなっていく。あれはきっと熱魔法だ。
「まずい、全員逃げろ!! 」
シンが叫んだことをきっかけに、広場にいた人達が、声を上げながら逃げ出して行った。
「そんな、ウーゴくん!! 」
ウーゴの行動に、真っ青な顔しているアラジンの腕を、モルジアナとアリババが引いていた。
嫌でもわかった。ウーゴは、ジュダルにとどめを刺す気なのだ。
「ハイリアさんも、早く!! 」
モルジアナの声が響いた。
シンの「逃げろ! 」という声が響いていた。
けれど、ハイリアは動けなかった。
ジンの手に宿る赤い光は、今やとんでもない大きさにまで膨れあがっている。
地面に大穴をあけるどころじゃすまないだろう。
きっとジュダルも一瞬で……。
彼が消えてしまう。そう考えたとき、ハイリアの中で、何かが渦巻いた。