第15章 暗夜の再会
「おい、チビ! その『ジン』卑怯だぞ!! さっきからお前は自分のマゴイをそいつに与えてないじゃないか! つまり、そいつ今、他の奴のマゴイで動いてるってことだろ!! 」
迫り来るウーゴに、作り出した氷の刃で攻撃を浴びせながら、ジュダルは、アラジンに向かって声を荒上げて叫んだ。
ウーゴに襲いかかっていった氷の刃は、いとも簡単に殴り砕かれている。
「そいつは、その『ジン』は……、お前の『ジン』じゃない!! 」
アラジンが驚いた表情を見せる中、ジュダルは浮遊魔法で空へと上がった。
そして、杖に溜めたマゴイの光弾で、ウーゴへと攻撃を浴びせた。
無数の細かい光が、青いジンとその周囲に当たり、土煙を巻き起こす。
真っ白になった視界に、ハイリアが、むせこみながら上を見ると、空にいたはずのジュダルの姿はいつの間にか無くなっていた。
戦いの途中でアイツが帰ることはない。目を凝らして姿を捜した時、土煙が中で動く、黒い影がうっすらと見えた。
「危ない! 逃げて!! 」
ハイリアが叫んだのと、ほぼ同時に、ジュダルは土煙の中から飛び出して、巨大な氷槍をウーゴめがけて突き刺していた!
鋭い氷刃が、ジンの胸に深々と突き刺さったのを見て、ハイリアは息を呑んだ。
「勝った!! 」
ジュダルの勝ち誇った声が聞こえ、アラジンが顔面蒼白になりウーゴを見ていた。
巨大なジンの体が、後ろに倒れると誰もが思った瞬間、ありえないことが起こった。
ウーゴが、氷塊を突き刺したジュダルを、両手で掴みにかかったのだ。
倒れることなく、ジュダルを防壁魔法ごと勢いよく掴みこんだウーゴは、そのまま力任せに両手を押し込んでいく。
予想するはずもない、その行動に、ジュダルは焦っていた。
握りつぶすように掴まれた防壁魔法は、ジンの手の指先に沿って、音を立てながら大きく歪んでいく。
変形していく防壁を見て、ジュダルの表情は青ざめていた。
逃げることもできずに、防壁がミシミシと軋んだ音を鳴らす。
大きく変形したジュダルの防御壁が、ピシリと音をたてて割れたのは、まさに一瞬のことだった。
叫ぶ間もなく、ジュダルを巨大な手が握りつぶしていた!