第15章 暗夜の再会
痛みにうめき声を上げるスラムの人たちを、冷たくみすえながら、ジュダルは声を荒上げた。
「誰も邪魔するんじゃねーよ……、俺は『マギ』同士で思う存分戦ってから、このチビをぶち殺してーんだからよ! 」
広場に響き渡った声に、怯えた人達の表情が見えた。
傷ついて、うめき声を上げる人達がたくさんいた。
さっきまで、みんな希望を持っていたはずなのに、いつの間にか瞳からその光は消えていて、不安や恐怖ばかりがこの場にたちこめている。
目の前で傷ついて、倒れていく人達ばかりだ。
もうこれ以上、見たくなかった。
「……シン、降ろして下さい」
「ハイリア、無理は……」
「大丈夫です。もう、治りましたから! 」
体が治ったなんて嘘だ。けれど、少しはマシになっていた。
覚悟を決めたハイリアの目を見て、シンはためらいながらも、地面に降ろしてくれた。
地面に足が着くなり、腹部に激痛が走って、痛みで体が沈み込みそうになった。
無理矢理、足に力を入れて歩き出す。
足音を聞き、振り返ったジュダルと目が合った。
「なんだよ、ハイリア。邪魔すんじゃねーってんだろ? 」
鋭い眼差しで見据えながら歩み寄ってくるハイリアに、ジュダルは苛立ちを見せた。
「金属器も持ってねーおまえに、何ができるってんだ? 」
確かに彼の言う通りかもしれない。金属器もない自分に、今のジュダルを止める方法なんて、ないかもしれない。
けれど、できることはあるはずだ。
吹き飛ばされたアリババは、呻きながらも今だって、ジュダルに向かって強い眼差しを向けている。
モルジアナはあんな魔法の中に、アラジンを助けるために飛び込んでいった。
アラジンだって、大切な友達と一緒に、こんなにボロボロになるまで頑張って戦った。
みんなが頑張っているのに、一人だけ傍観なんて、できない。
もう逃げたくないんだ。立ち向かうって決めたから。