• テキストサイズ

【マギ*】 暁の月桂

第15章 暗夜の再会


痛みにうめき声を上げるスラムの人たちを、冷たくみすえながら、ジュダルは声を荒上げた。

「誰も邪魔するんじゃねーよ……、俺は『マギ』同士で思う存分戦ってから、このチビをぶち殺してーんだからよ! 」

広場に響き渡った声に、怯えた人達の表情が見えた。

傷ついて、うめき声を上げる人達がたくさんいた。

さっきまで、みんな希望を持っていたはずなのに、いつの間にか瞳からその光は消えていて、不安や恐怖ばかりがこの場にたちこめている。

目の前で傷ついて、倒れていく人達ばかりだ。

もうこれ以上、見たくなかった。

「……シン、降ろして下さい」

「ハイリア、無理は……」

「大丈夫です。もう、治りましたから! 」

体が治ったなんて嘘だ。けれど、少しはマシになっていた。

覚悟を決めたハイリアの目を見て、シンはためらいながらも、地面に降ろしてくれた。

地面に足が着くなり、腹部に激痛が走って、痛みで体が沈み込みそうになった。

無理矢理、足に力を入れて歩き出す。

足音を聞き、振り返ったジュダルと目が合った。

「なんだよ、ハイリア。邪魔すんじゃねーってんだろ? 」

鋭い眼差しで見据えながら歩み寄ってくるハイリアに、ジュダルは苛立ちを見せた。

「金属器も持ってねーおまえに、何ができるってんだ? 」

確かに彼の言う通りかもしれない。金属器もない自分に、今のジュダルを止める方法なんて、ないかもしれない。

けれど、できることはあるはずだ。

吹き飛ばされたアリババは、呻きながらも今だって、ジュダルに向かって強い眼差しを向けている。

モルジアナはあんな魔法の中に、アラジンを助けるために飛び込んでいった。

アラジンだって、大切な友達と一緒に、こんなにボロボロになるまで頑張って戦った。

みんなが頑張っているのに、一人だけ傍観なんて、できない。

もう逃げたくないんだ。立ち向かうって決めたから。
/ 677ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp