第15章 暗夜の再会
「ウーゴくん!!! 」
友人であるウーゴの傷ついた姿をみて、アラジンは叫び声を上げた。
ジンのおかげで無傷だが、アラジンの顔は真っ青だった。
急いで、ウーゴの体によじ登ると、アラジンは体の元となる金の縦笛に向かって、慌てて息を吹き込みはじめた。マゴイを送っている。
アラジンのマゴイを受けて、ウーゴの体に突き刺さっていた、氷の刃は次々と抜け落ちた。
「とんでもねーな、そいつ! でも効いたみたいだぜ、見ろよ。穴からマゴイが漏れてるぜ! 」
ジュダルの言う通り、ウーゴの傷口からは、マゴイが煙のように立ち上って漏れだしていた。
「なぜなんだ! なぜ君は僕たちにこんなことをするんだい!? 」
アラジンの声は怒りで震えていた。
「なんでだと……? そういや、なんで戦ってんだっけ? 忘れちまった! 」
ジュダルは、呆れてしまう程、素直にそう言った。
怒りを露わにするアラジンにも、恐れを感じているスラムの人達にも、彼は全く何も感じていないようだった。
「まあ、いいじゃねーか! 遊ぼうぜチビ! お前も『マギ』ならわかるだろ? 」
敵意を向けるアラジンに、ジュダルは言う。
「俺は、力が余って、余って、余ってしょーがねーんだよ! おかげで何やってもつまんねーしよ! でも、今日はちょっとだけ楽しいぜ。だから、もっと、もっと俺と遊べよ、チビの『マギ』!! 」
ジュダルは気持ちを高ぶっているようで、彼の体からは黒いルフが溢れ出していた。
底の見えないような黒い闇に、ハイリアは目を覆いたくなった。
奮い立つジュダルは、立ち上がったアラジンのジンを見据えていた。
ウーゴの背中からは、途切れることなくマゴイが溢れ出ている。アラジンは、その体の上に乗りながら、笛を握りしめて必死に叫んでいた。
「もういいよ。もういいから、戻ってよウーゴくん!! 」
アラジンの「戻って」と叫ぶ声が辺りに何度か響いたとき、青い巨人の体がぐらりと前のめりに倒れ込んだ。
ウーゴが倒れた勢いで体を地面に放り出されたアラジンは、すぐに立ち上がって、膝をついたウーゴに駆け寄った。
ウーゴを心配するアラジンの声が響いていた。それでも、ジンは笛に戻ろうとしない。
それには、アラジンも戸惑っているようだった。