第15章 暗夜の再会
「ハイリア、大丈夫か!? 」
シンだった。敵側の人間とわかったはずのに、なぜ助けたのかと驚いた。
でも、今はそんなことよりも、ジュダルを止めて欲しかった。また、彼が人を傷つけてしまう。
黒いルフがざわめいて、ジュダルが闇にとりこまれていく。
痛みが支配する中、早く彼を止めてと、声を振り絞ろうとしたけれど、息が詰まって、声はおろか指先さえも、うまく動かせなかった。
その間にも、魔法は完成へと向かっていた。
命令式をルフへ与えたらしい水だまりは、ビキビキと不気味な音を立てながら、急速に凍り付いていった。
滑らかだった水の表面が凍り付き、鋭利な形へと変化していく。
「これが、俺の一番得意な氷魔法だぜ! 」
ジュダルは、まるで鋭利な矛のような巨大な氷の塊を作り上げると、それを宙に浮かべた。
そして自らも空へと浮き上がる。
空に浮き上がった巨大な氷塊と、黒いマギの姿を見て、アジトにいる人達は、恐怖に震え上がっていた。
「どーだコレ! すっげーだろシンドバッド! 覚えるのに苦労したんだぜ! さすがに長距離飛ぶのは厳しいんだけどな」
空で笑い声を上げるジュダルに、シンは苛立っていた。
自分を抱えている手に、力がこもるのを感じた。
ただ、見ていることしかできない自分が、腹立たしかった。
「俺の得意技はこれからさ……」
空に佇むジュダルの言葉通り、氷塊に変化が起きた。
巨大な氷塊の表面が割れ裂けて、無数の氷の槍がつくられる。
巨大な氷塊を中心に、周囲に浮遊した無数の氷の槍は、静かに地上に矛先を向けて留まった。
ジュダルの視線の先は、アラジンと青いジンだ。
「くらえ! サルグ・アルサーロス!! 」
振り下ろされた杖と共に、無数の氷槍が空から降り注いだ!