第15章 暗夜の再会
「ありがとう、ハイリアさん。もう、大丈夫だよ」
呆然としていたハイリアに、アラジンは笑いかけると、ウーゴと共に、強い眼差しでジュダルに再び向かい合った。
気づけば、ジュダルはハイリアに冷たい視線を送っていた。
「おまえ、邪魔する気か? 今度、手ぇーだしたら許さねぇからな」
殺気を感じとって、背筋がぞくりとした。
青ざめたハイリアをみて、ジュダルはアラジンへと視線を戻した。
「へぇ、チビ。おもしれぇの持ってんじゃん……。巨大なジンの体……、そんなもん俺たち『マギ』にしか出せねぇもんな」
興味深そうにアラジンの後ろに立つジンを見上げると、ジュダルは歯をのぞかせて笑った。
「いいぜ、認めてやるよ。お前のこと! でも、俺の魔法だって、あんなもんじゃないんだぜ? 」
不敵な笑みを浮かべて、ジュダルは再び杖を掲げ上げた。
ジュダルの元に、白いもやが、急速に集まりだした。
白い霧となって、彼の周りに集う。
「バルバッドは霧の町。水なんていくらでもルフに集めさせられるぜ」
集まった霧は、水の粒子となり、それが結合して大きな水滴となる。
徐々に大きな水たまりとなっていく魔法を見て、ハイリアの脳裏に迷宮の怪物を突き刺した、彼の魔法の記憶が蘇った。
ここでアレを使うつもりらしい。
あんなものを使ったら、ここにいる多くの人が、怪我じゃすまないかもしれない。
「だめよ! こんな所で使ったら!! 」
止めようと走り込んだ瞬間、ジュダルが杖先を向け、彼が作り出した水弾丸がハイリアを襲った!
勢いよくハイリアの腹部にめり込んだ水弾丸は、鉄球にも似た重い衝撃が走る。
ミシミシという嫌な音が聞こえて、身体が投げ飛ばされた。
「うっせーな。邪魔すんなって言ったろ! 黙って見てろ! 」
苛立つジュダルの声を聞きながら、ハイリアの身体に、激しい痛みが襲いかかった。
息が詰まり、まともに攻撃を受けたせいか、投げ出された体を動かすことが出来なかった。
受け身のとれない動かない体が、反転して目の前に地面が迫った瞬間、誰かの腕がハイリアを受け止めた。