第15章 暗夜の再会
ルフは己の生み出すマゴイの力で、この世のあらゆる自然現象を起こしている存在だ。
魔法とは、そのルフが生み出す魔力を使い、炎や雷、嵐といった現象を作りだし、体現する方法である。
あのジュダルの魔法に対抗するには、アラジンがルフに命じて魔法を作り出すしかないのだ。
魔法を知らないアラジンは、あの雷魔法からどうやって身を守る気なのだろうか。
「余所見してんじゃねーぞ、オラァ!! 」
勢いよく振り下ろされたジュダルの杖先から、巨大な雷が放たれた!
「アラジンだめだよけろ!! 」
シンが叫ぶ声が響いた。
雷光は、地面を削りながらアラジンへとまっすぐと向かう。
アラジンは杖をマゴイが宿る構えて、その雷光を見据えている。
アラジンの周りには防壁もない。きっと防壁魔法すら使えないのに、受ける気なのだ。
―― だめだ! あのマゴイだけじゃ、どうやったって防げない!
巨大な雷の光が迫るのを見て、ハイリアは走り出した。
アラジンが、集めたマゴイで打ち弾こうと杖を振るったが、やはりルフの光は簡単に散らされた。
―― 間に合って!
彼を助けなければと、それだけを考えて、ハイリアは足に力を入れ、腕を伸ばした。
アラジンを抱きとめた時、雷光はもう目の前だった。
間に合わないと悟り、とっさにアラジンの身を庇うように覆い被さった。
アラジンの驚く表情が見え、彼の首もとにある金の縦笛が光った気がした。
轟音が響き、すさまじい爆発音が辺りに響き渡った。
地響きにも似た衝撃を感じながら、土煙が舞う中、なぜか痛みは感じなくて、辺りは暗い影が出来ていた。
「おいおい……あっさり吹き飛んじまったのかぁ……? 」
つまらなそうなジュダルの声が聞こえ、不思議に思っていたとき、突然、視界に見えていた暗い影が大きく動いた。
動いた巨大な影は、見上げるほどに大きい青い巨人。アラジンのジン、ウーゴだった。
ハイリアの目の前に現れた巨大なジンの身体には、焦げたような無数の傷があり、彼が自分たちに覆い被さって、守ってくれたのだと知った。