第15章 暗夜の再会
「……ジュダル、おまえはハイリアと知り合いなのか? 」
気づけばシンが、探るような目でこちらを見ていた。
側で座り込むアラジンも、その側にいるモルジアナも、アリババも、驚いた目でこちらを見ている。
当然だ、彼らに何も話さないまま、コイツと再会するはめになったのだから。
みんなの戸惑う視線が集中しているのを感じて、ハイリアは思わず目を逸らした。
その様子をみて、ジュダルは笑みを浮かべた。
「なーんだ、おまえ言ってねーのかよ! 知り合いも何も、こいつは俺が認めてやった王候補の一人だぜ? 」
そう言ってジュダルは、動揺するハイリアの肩を引き寄せた。
「こいつは、見かけは細っせぇけど、マゴイの量もやたら多いし、強いんだぜ! 迷宮に迷いこんでいたのを俺が拾ってやったんだ。それなのに、こいつは俺に黙ってどっかに行っちまってさー。金属器まで土に埋めてだぜ? ひでー話だろ? 」
けらけらと笑うジュダルの声を聞きながら、ハイリアは胸の奥が苦しくなった。
本当は、自分の口で上手く話すつもりだった。
みんなにちゃんと自分のことを話して、理解してもらうつもりだった。でも、もう遅いのだ。
ジュダルの言ったことは真実だけれど、彼が言ったことで、みんなが自分を見る目が変わってしまっていた。
広場に集まるスラムの仲間は、完全に自分のことをジュダルの仲間だと思っている。
シンや、モルジアナたちが自分を見つめる目も、複雑なものだ。
敵かどうか見極めているような視線を感じて、彼らの元へはもう戻れないのかも知れないと思った。
「まー、見つかったわけだし、もうどうでもいいけどな。それより、チビ! お前が本当に『マギ』なら、王候補を連れてるんだろ? お前の王候補を出せよ! 」
ジュダルはアラジンに視線をむけ、不敵な笑みを浮かべた。
モルジアナの側で、座り込んでいるアラジンは、突然のことに戸惑っているようだった。
困った様子で黙りこみ、何も言わない。
「なんだよ、だんまりかよ? いいよ~、じゃ自分で捜すから~」
ジュダルはそう言って、力を込めて目を見開いた。
肩に乗せられた彼の腕から、彼のマゴイが急激に動いた気配を直に感じとって、ハイリアは背筋が、ぞくりとした。