第15章 暗夜の再会
ジュダルは広場に集まった人たちを、隅から探るように見渡すと、何かを見つけたようだった。
ハイリアの肩から手を離して、まっすぐと歩き出す。
「みいーつけたっ!」
にやりと笑って、ジュダルが指をさしたのは、アリババだった。
「あれ? なんだ俺、お前のこと知ってるぞ。お前アレだろ……昼間、アブマドにいじめられてた奴だろ! 」
堪えきれずに笑い出したジュダルの声が、広場に響きわたった。
「必死こいてわめいたのに全然聞いてもらえなくて、ウジ虫呼ばわりされて泣いてたよなー! ほんとお前って、情けない奴……」
「情けなくなんかない! 」
突然、アラジンが声を張り上げた。
「あ? 」
「アリババくんは情けなくなんかない! アリババくんは自分が認められないかもって、最初から知っていたよ。でも、みんなのために怖いのを我慢して、今まで誰もできなかったことをやりに行ったんだ。 彼は決して情けなくなんかない!! 」
アリババを馬鹿にされ、アラジンは怒っていた。
「……へぇ、チビ。そんなに見込んでる王候補なのかよ、こいつが? 」
ジュダルは品定めするようにアリババを見ながら、にやりと笑みを浮かべた。
「ふ~ん……、俺にはそうは、見えねーけど……、な!! 」
懐から杖を取り出したジュダルが、アリババめがけてマゴイを打ち込んだのは一瞬のことだった。
お腹をおさえて、うめき声を上げたアリババに、モルジアナが慌てて駆け寄った。
「ほら、弱え~! シンドバッド、ハイリア、なんでお前ら、こんなくだらねー奴らとつるんでんの!? バッカじゃねぇの!? 」
ジュダルの侮辱する発言に、怒りを露わにしたのは、アラジンだった。
杖の先に無数のルフを集めながら、アリババを守るように彼の前に立つ。
「へっ、やる気かよ? 」
アラジンが杖を向けるのを見て、ジュダルは面白そうに杖を構えた。