第15章 暗夜の再会
「ようチビ! 俺、ジュダル。お前は? 」
明るい笑顔を浮かべるジュダルの瞳には、楽しげな光がすでに宿っている。
「ぼ、僕はアラジン」
ジュダルの豹変っぷりに、アラジンも戸惑っていた。
「そっか、アラジン。『マギ』同士よろしくな! 」
柔らかな笑顔でジュダルが差し出した手をみて、彼が何をしようとしているのか想像が付いた。
優しいアラジンが握手をしようと、手を伸ばしたのを見て、ハイリアは駆けだしていた。
アラジンの手が触れようとした瞬間、思った通り、ジュダルはその手を拳に変えていた。
そして、アラジンの顔めがけて、殴り込みにいったところを、ハイリアの手が彼の腕を掴んだ。
勢いがついた腕をがっしりと力をこめて押さえ込むと、アラジンの顔ぎりぎり手前で、彼の拳が止まった。
目の前で止まったジュダルの拳をみて、アラジンは目を見開いている。
なんとか間に合った。彼が殴られていたらと思うと、冷や汗が流れ出た。
アラジンは状況がわかったのか、みるみる表情を青く変えていった。
「シロ……? 」
ジュダルの声が聞こえて、おそるおそるハイリアは、彼を振り返り見た。
拳を止められてイライラしているかと思いきや、ジュダルは目を見開いて驚いていた。
怒って一発くらい、八つ当たりされるだろうと思ったのに、何もしてこない。
ハイリアが戸惑う中、ジュダルは笑顔を浮かべると、ハイリアが掴んでいた手を引き寄せた。
「ハイリアじゃねぇか! なぁーんだ。こんなところにいたのかよ! 」
突然、腕を引き寄せて、抱きついてきたジュダルに、ハイリアの頭は混乱した。
「昼間みかけてから捜してたんだぜ? まさか、バカ殿のところにいるとは思わなかったけどよー! 」
嬉しそうに笑いながら、抱きしめてきたジュダルに、どうしていいやらわからなくなる。
── なんでだ……、なんでこうなった?
とんでもない状況に、戸惑いながら、なんだか急に恥ずかしくなってきて、ハイリアは慌てて体を引き離そうと、ジュダルの体を押した。