第15章 暗夜の再会
「そんなことより、わかってんだろ、シンドバッド? 俺が好きなのは……、戦争だよ」
シンを挑発的するように、ジュダルはにやりと笑みを浮かべた。
「強いんだぜ! 俺のいる煌帝国は。兵隊もたくさんいる、迷宮攻略者の将軍もいる。迷宮怪物軍団だってできたんだぜ! すっごいだろ! 」
相変わらず、争いのこととなると、楽しそうに話をする。まるで子どもがはしゃいでいるようにも見えた。
漆黒で純粋な、彼の黒いルフがざわめいて、ハイリアは顔をしかめた。
シンは苛立った様子で、ジュダルを睨み付けていた。
この二人の間にも、深い溝がありそうだった。
「あ、勘違いすんなよ! 俺が一番組みたいのはシンドバッド、おまえなんだぜ! 煌帝国の皇帝は、どれも気にくわなくてよー。だから、いい加減俺と組んで世界せーふく目指そうぜ! 」
「何度も言っているだろう。俺は、お前らの操り人形にはならん」
手をさしのべたジュダルに、シンは冷たい対応だった。
もしかしたら、シンは奴らの存在を知っているのかもしれない。
「にしてもさぁ、なんなわけこいつら? ゾロゾロと……」
そう言って、集会場内にいるスラムの仲間を眺めていたジュダルの表情が、アラジンに視線がうつったとたんに変わった。
目を見開いて、アラジンを見つめている。
「あれ? 何コイツ? シンドバッドよぉ……こいつの周りのルフ変だよ。こいつなんなんだ? 」
アラジンに興味を示し出したジュダルをみて、ハイリアはなんだか胸騒ぎがした。
「……お前と同じ『マギ』だよ」
シンが言うと、ジュダルは、アラジンに詰め寄った。
「はぁー!? こんなチビが『マギ』~!? ウソだろ~!? 」
目を丸くしているアラジンを、のぞき込みながら、ジュダルは声を大きくした。
「だって『マギ』ってのはすげーんだぜ! 世界を変えるためにルフが送り出す、創世の魔法使いにして、最強のマゴイの使者。それが『マギ』なんだぜ!! そんなのが俺の他に、そうそういてたまるかよ!? 」
「彼が『マギ』だから、お前も反応したんだろうが」
シンの言葉に、ジュダルは黙りこんだ。
そして、突然、気さくな笑顔を作りだし、アラジンに振り返った。
その違和感たっぷりの笑顔には、嫌な予感しかしなかった。