第15章 暗夜の再会
「ジュダル!? 」
アイツだとわかった瞬間、広場に声が響き渡った。
「おーい! シンドバッド!! 」
大きく響き渡ったジュダルの声に、シンは驚いて空を見上げていた。
やはり、シンが知っている『マギ』とは、アイツのことだったらしい。
でも、なんでジュダルがここへ来たのだろう。
さすがに、マゴイの量をみて街を捜されたって、一日くらいは時間を稼げたはずだ。見つかるには早すぎる。
空飛ぶ絨毯から飛び降りたジュダルは、アジトに潜入するなり、ニコニコしながらシンへと迫った。
こちらには、まだ気がついていないみたいだ。
「よっ、バカ殿! ここで何してんの? 」
気さくにシンに話しかける漆黒の青年は、一見、さわやかな明るい少年に見えなくもない。
だが、その赤い瞳の奥には、すでに悪戯な光を宿していた。
漆黒の衣装に身を包み、長い黒髪を三つ編みにしている姿は、一年前とほとんど変わらない。
その身に宿る黒いルフも、全く変わっていなかった。
「ジュダル、お前、つけてきたのか!? 」
「なんだよ、せっかく会いに来てやったのに、つれねぇーなー……」
シンは突然のジュダルの登場に、警戒していた。
察するに、王宮からシンのあとを、ジュダルはつけてきたようだ。
まだ何も話すことができていないというのに、こんなに早々と再会することになるなんて、最悪だった。
「アブマドの手先としてここに来たのか? それとも煌帝国のか? 」
「……あ? 」
シンの言葉に、ジュダルは、なんとも微妙な表情を浮かべた。
「……ああ! 違う、違う! 正直、俺、そういうのどうでもいいから! 」
思い出したように、ジュダルは明るい笑顔を浮かべて言った。
シンは警戒を弱めない。
「貴様ら、この国でいったい何をする気だ? 」
「……さぁ? 親父どもの考える経済どうのってのは、俺にはキョーミのねー話だからな……」
頭をかきながら、実に面倒くさそうに彼は言った。