第15章 暗夜の再会
「自分が剣を取った理由を思い出せ! 忘れるな! それでも今日、こんなもので終わりだと思う奴が、この場に一人でもいるのか!? 」
シンの言葉が広場に響き渡り、空気が一変した。
ここにいる仲間の顔つきが変わったのだ。
強い意志を宿す、スラムの人々の眼差しを見たシンは、頷きながら彼らを見据えて言った。
「よし。ならば、俺は俺の持てる力のすべてを、お前達に貸そう」
そう言って、シンは微笑んだ。
「何が来ようが俺が倒してやる。国から追われようものなら、俺の国で国民として受け入れてやる!
世界はまだ理不尽でできている。それと戦う者たちを、受け入れる。そのために俺は国を作ったのだからな」
シンが力強く言った時には、広場は希望に満ちあふれていた。
演説を終えて、壇上を降りたシンの回りには、『霧の団』の残党である、スラムの仲間達が自然と集まって来た。
気づけば、彼が中心となっている。
どうしようもないところもあるけれど、この人が話すと、何かが本当に変わるような気がしてくるから不思議だ。
不安を抱えていた人達も、心が動かされ、希望を見つけていく。
これが国を背負って立つ、王様の力なのかもしれない。
「アラジン、おまえ、すごい人と友達になったな!」
頷くアラジンと一緒に、アリババが尊敬の眼差しを向けながら、スラムの仲間達と話しているシンを見つめていた。
賑やかになる広場の中で、ハイリアはモルジアナに声をかけた。
「すごいね、シンは 」
「はい、シンドバッドさんがいると、場が明るくなりますね」
「ほんとだね。もう、あんなにスラムの人達と意気投合しているし……」
昨夜まで、敵同士だったとは思えないくらい打ち解けていて、呆れてしまうくらいだ。
どうやったら、あんなにすぐに人と打ち解けられるのだろう。
スラムの人達と、友達みたいにじゃれあうシンから、モルジアナに視線を移すと、ハイリアは覚悟を決めて話し出した。