第1章 真田幸村 両ルート恋度MAX特典「相変わらずの二人」
「ん・・・」
ゆっくりと目を開けると、そこは薄暗い小屋のようで・・・
「痛っ」
身体を起こそうとして、バランスを崩す。
埃っぽい汚れた床に、手足を縛られ、なおは横たわっていた。
(ええ・・・っと 確か・・・)
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お城に帰ったら、みんなにお茶を入れて、栗団子も振る舞って、そしたら幸村、きっと喜んでくれるよね
『お嬢さん、ちょっと』
え、私?
そうだ、その声に振り返ったら・・・
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男「目ェ覚めたか」
なおの近くにしゃがみ込んだ男が、にやりと笑う。
男「昨日は世話になったな」
「あなた、確か・・・! どうして・・・」
男「俺だけあの場から逃げ出した。だが、仲間を見捨てたわけじゃねえ」
男の指がゆっくりと伸ばされ、
男「お前を人質に、あいつらの解放を要求する」
なおの顎を捉えた。
男「聞けばお前、真田幸村の女らしいな。いずれお前を利用し、仲間を取り戻す、と思ってた矢先、早速街をぶらぶら歩いてやがった。昨日の今日で、随分呑気な女だな」
「・・・っ」
男「ま、そういうわけで、お前にも協力してもらう。そうだな・・・」
男の目に留まったのは、なおの胸元。
顎を掴んでいた手がゆっくりと下がる。
「あっ、だめ・・・!」
その花飾りを奪うと、立ち上がる。
男「これと一緒に文を届ければ・・・」
「やめて、それは大事なものなの! 返してっ」
身をよじり、何とか男の足元まで移動しながら、
「お願い返して・・・もうこんなこと、やめてください。罪に罪を重ねるような、こんな事・・・」
見上げるなおの目は潤み、悲しみよりも悔しさを強く滲ませていた。
男「大人しくしてろ!」
僅かに体を起こしたなおの肩を思い切り突き飛ばす。
「きゃっ!」
(どうしよう・・・ 幸村・・・っ)
勢いよく倒れ込んだなおをじっと見下ろす男が、ふと、もう一度しゃがみ込む。
男「まぁ、そんなに急ぐこともないか」
「え・・・何・・・」
着物の裾が乱れ、露わになった白く細い脚を、男の手がそっと撫でた。