第2章 武田信玄 本編応援キャンペーン「彼の心を狙いうち」
祭りの後、離れがたくて自分から信玄に手を伸ばした。
それが意味することは、良くわかっている。
今更拒むつもりもない。
「信玄様っ!」
力を込めて胸を押すと、やっと信玄が顔を上げた。
信玄「・・・今更駄目だと言われても、もう離す気はない」
いつもの甘やかな笑顔とは違う、強い欲で満たされた表情にどきりとした。
再びなおの身体に顔を埋めようとする信玄に、
「違うんです・・・あの」
真っ赤になったなおが、その顔を手で覆い隠しながら、小さく告げた。
「・・・はずかしくて・・・っ」
信玄「・・・?」
そっとなおの手を掴み、顔から退けて、
信玄「なんだ?」
「私の声ばかり・・・恥ずかしいんです。信玄様が、何も言わないから余計に・・・」
顔を背けて、消え入るような声でなおが言った。
信玄「・・・」
信玄は少し驚いたように瞬きをし、そして微笑む。それはいつもと変わらぬ表情で、
信玄「それはつまり・・・」
熱く火照ったなおの頬に、優しく口づけた。
信玄「俺の言葉が欲しいってことかな」
「・・・っ」
覆い被さっていた身体を離すと、なおの傍に肘を立て、頬杖を付きながら身を横たえた。
腕をなおの背中に回し、そっと抱き寄せる。
信玄「あんな風に言葉をかけるのは、君の反応を楽しみたいから」
「っ!」
頬を指で撫でられ、くすぐったさに肩を竦めた。
信玄「というのは建前だ。本当は、君に振り向いて欲しくて・・・俺を見て欲しかった」
なおの顔を掌で包むようにして、こちらに向けると、
信玄「けど、今それは必要ない。君はこうして俺を見ている。俺に抱かれて、俺だけを見つめているのだからな」
身を起こした信玄が、なおの身体に影を落とす。
信玄「おしゃべりはこれでお終い。先に進んでいいかな?」
微笑む信玄の顔が、なおの唇に近づき、ふと止まる。
信玄「いや、一つだけあるな。無性に口にしたい言葉が」
なおの唇に指を這わせ、指先で軽く開かせた。
「なお・・・ 君の名だ」
信玄の唇が、囁くようになおの名を呼び、深く重なる。