第5章 紫原 敦
それから1週間、アイツは学校に来なかった。
別に、俺には全く関係ない……。
……ない、はずなのに……。
「敦、最近調子が悪いみたいだけどどうしたんだい?」
「別にぃ……」
外周中に室ちんがそんなことを訊ねてきた。
俺はいつも通りしているはずなのに、室ちんには違って見えるらしい。
「もしかして、千穂さんのこと?」
「はぁ!? ちげぇし! あんな奴、俺には関係ない!!」
俺が急に声を荒げたせいで、一瞬静まり返った。
「コラ! 一年何やってる!!」
前を走る先輩たちが大声出してる。
「今日は帰る……」
「あ、おい! 敦!?」
引き止めようとする室ちんの言葉を背中に受け、俺は練習着のまま帰宅した。