第5章 紫原 敦
顔中に痣や小傷がたくさんあった。
よく見ると、手足にも……。
「痛いよ……敦……」
「どうしたの、これ……」
「ちょっと転んじゃって……」
「どういう転び方したら」
「顔面から盛大に……」
顔中傷だらけなのに、ヘラヘラといつものように笑ってる彼女になぜだか無性に腹が立った。
「早く帰りなよ、ウザいから」
「はいはい、敦君のお願いは聞いてあげないとね~♪ ……ッ……」
俺は振り返らず、その場を後にした。
彼女の気配を感じたけど、気にせず家路についた。
まいう棒を買い忘れたことなんて、全く気にならなかった。