第3章 日向順平
食事も済み、千穂が行きたいと言う雑貨屋へ行くことになった。
俺は歩き出す千穂の手をとる。
「ん?」
「またどっか行かないように、捕まえといてやる」
「うん♪」
千穂は嫌な顔一つせず、俺の手を握り返してくれた。
俺はニヤケまいと表情筋に意識を集中させた。
「ここだよ~……って、あれ? 俊とリコちゃんが居ないよ?」
「は? 今度はあいつらが迷子かよ……」
ぐるっと見渡しても二人の姿は見えない。
どうしようかと迷っていると携帯が震えた。
――日向! ファイト!――
「どしたの?」
「えっ、あ……ぅん、伊月から。二人とも用事思い出したから帰るって」
「そっかー、じゃあ仕方ないね」
「ぉ、おぅ。店入ろうぜ」
「うん♪」
千穂は俺の手を引いて店の中に入っていった。