第4章 極
「おかえりなさい。平野」
玄関口に座っていた私は、彼の帰りに微笑んだ。
「主………」
「どうだった。見に行った世界は。」
世界、と平野は繰り返した。
世界。そう、世界だ。
平野の、大切な世界。
「………少し、唖然としました。あまりにも、壮大で、寂しくて。」
「そうだね。世界には、沢山のものがあるからね。」
平野と顔を見合わせて笑う。
しゃがんでおいでと手を開けば、少し戸惑う態度は変わらず平野が腕の中におさまった。
「おかえりなさい。おかえりなさい、平野」
「主、ただいま帰りました」
「うん。」
「お供させてください。地獄の底だろうと、ついていきます」
「あぁ、宜しく頼むよ」