第1章 少女を変えたもの
ゆっくりと後ろを振り向いた。
『っ·····あ、·····ぁっ·····!』
声さえまともに出なかった。
巨人····!
「ノエル!もういい逃げてっ!あなただけでも!」
『嫌だっ!お母さんを放ってわたしは逃げない!』
わたしはもう一度巨人に背を向け、瓦礫を掻き分けた。
自然と涙が頬を伝ってきた。
怖い。
怖いけど、逃げ出したらわたしは一生後悔する。
『いやああっ!』
巨人に服を摘ままれ、そのまま宙に浮いた。
下を見ると、巨人の口がわたしを待っていた。
今からわたしは食べられるの····?