第11章 それぞれ還る道
綺麗に洗濯されている見慣れたその服を身に着け、脱衣所を出る。
「わー!可愛いね槐ちゃん!最高に似合うよ!」
白澤様が手放しで褒めてくれる。
「あれ?鬼灯様は?」
「帰っちゃった。」
「嘘・・・」
「・・・嘘だよ。あいつなら今桃園の入り口にいるよ。ごめんね。僕ちょっと嫉妬して嘘ついちゃった」
わざと拗ねた風を装っているけど、多分これは本音だ。
「じゃあ、私、そろそろ行かなきゃ。」
「多分、僕らはこれでお別れになるんだね」
「はい・・・桃太郎さんも、ありがとうございました。あっ、部屋の片付け・・・!」
「そんな事。俺やっとくからいいですよ。鬼灯様待ってるだろうから行ってください」
桃太郎さんと固い握手を交わす。
「それから白澤様、本当にお世話になりました。ありがとうございました!」
「なぁんか湿っぽいからやめてよー。君は生きる為に行くんでしょ?」
「・・・はい」
言いながら私は涙ぐんでいた
白澤様とも握手を交わし、ぎゅっとお互い抱きしめ合う
「僕はいつも君を見守っているからね。大好きだよ。再見。」
私は、私の場所に行かなきゃ。
その前に、一番大好きな、大好きなあの人の所に。