第11章 それぞれ還る道
そこからはもう宴会騒ぎだった。
既に出来上がっている方にすんなり溶け込む白澤様。
「アーネスト・ヘミング・・・・『うぇーい!!』」
何度目の乾杯だろうか。
注いでもらった甘いカクテルをちびちび飲んでる間にも、
唐瓜君や茄子君からいろんな質問や楽しい小話が舞い込んできた
途中参加なのに、群を抜いてへべれけの白澤様は
調子にのって鬼灯様の暴露話を始める
「こいつさぁー、こう見えて辛い物食えないんだよ!」
隅で静かに升を傾ける鬼灯様を指さして笑う
怒るかと思いきや大人な対応をして見せる鬼灯様
「いるんですよね。辛い物を食べられることに無意味に優越感じるやつ」
「もー、そうやって白澤様はすぐ鬼灯様に突っかかる・・・あ、ほらこれ取り分けたんんでどうぞ」
間を割って桃太郎さんが取り成す
「暴露話と言えば、桃太郎さんが初めて地獄に来たとき、あれは強烈でしたね」
「なんで矛先が俺に!?ちょっ、その話はマジで止めて!!」
あの世に来てから、初めてなんじゃないかって程笑った。
さんざんどんちゃん騒ぎをした後は、まさかのカラオケ!
知ってる歌あるかなとちょっと心配になったけど
案外現世の曲が入っていたので楽しく歌えた。
白澤様ともデュエット出来たし。
でもまさか鬼灯様がマイクを取ると思わなかった。
「平家物語 ~壇ノ浦の戦い~」
歌というよりも詩、っていうのかな?
殆どが酔いつぶれてお開きとなる頃には
真夜中というより、朝方に近い時間だった。
白澤様と桃太郎さんと3人で
互いに支えるようにして帰路に着く
地獄の門まで鬼灯様が送ってくれたけど、
閻魔様も酔いつぶれているのでこれから担いで帰らないと、とため息を漏らす。
ふらふらになって家に辿り着いたころには、もう寝る支度を整える体力もなく、
居間で3人とも雑魚寝の形になった。