第11章 それぞれ還る道
それにしても鬼灯様はとても顔が広い。
どこに行ってもあちこちから声をかけられる
その一人一人をちゃんと名前で呼ぶ鬼灯様の記憶力もすごい
きっと今日のこのツアー、鬼灯様の人脈を駆使して組み上げてくれたんだろうな
公で堂々と手を繋ぐのは憚られる。
私が現世に帰っても鬼灯様のここでの生活は続いているのだから。
気にしないとは言われたけど、面子を潰してしまう原因にはなりたくない
一日遊び倒し、すっかり夜になってしまった
「今日のラストはここです」
「居酒屋、ですか・・・!?」
促されて足を運ぶ。
そこには桃太郎さんをはじめ、
シロちゃんや先ほどの茄子君とその同僚唐瓜くん、
さらには閻魔大王様まで揃っていた
「えっ・・・!?」
「遅いよ鬼灯君達!あんまり遅いから先始めてたよ~」
私の思い出作りのために、こんなに人が集まってくれた。
振り向くと、鬼灯様が私の両肩に手を置き、ずい、と前に押し出した。
「皆で楽しくやりましょう」