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【鬼灯の冷徹】ダイアード災厄

第11章 それぞれ還る道


「おはようございます!起きてください!」



よく通るバリトンが声を張り上げる。



周囲の木の鳥たちはびっくりして飛び立つ

家の中まで届くその声で私は布団から起き上がる



「槐さん、いるのはわかっていますよ!さぁ出てきてください!」



私は立てこもり犯か。



昨日、無理やり寝に落ちたけど、
結局途中で目を覚ましてしまい、正直睡眠不足。

あんな夢見るから。あんな現実起こっちゃうから。


「槐さん!いい加減にしないと、ここへ浄玻璃の鏡を持ってきますよ!」


とんでもない脅しだ。


昨日の甘いひと時がまるでウソのようだ


ぼさぼさの頭もそのままに、寝巻のまま玄関へ向かおうと
部屋の扉を開けると同時に、同じく寝巻の白澤様が居た

「おはよう槐ちゃん・・・」


「おはようございます白澤様」

玄関を指さし、苦笑する白澤様。


「何アレ?僕達立てこもり犯?」



「犯人に告ぐ!いいかー!その建物は風水では良くないらしいぞ!」


「んな訳ねぇよ!」と突っ込みながら白澤様が玄関を開ける。


予想通り、そこには仕事モードの鬼神が懐中時計を片手にしかめっ面をしていた。


「槐さん、ボヤボヤしてると帰る時間が迫ってきますよ!あと二日しかないんですよ!それまでミッチリ楽しんでいただきますよ!」


反射的にハイッと敬礼をし、手早く着替え、顔を洗う

後れを取れば確実に置いて行かれるであろう白澤様もそれに倣った


鬼灯様の後ろから、桃太郎さんがヒョコッと顔を出す


「白澤様、今日は俺が店番しますから、行ってらっしゃい」

「桃タロー君・・・」



鬼灯様に気づかれないように桃太郎さんはそっと呟く


「実は、鬼灯様の意向なんですこれ」

「えっ」

「白澤様もいた方が、強烈に楽しい思い出になるだろうから、って」



「ほらそこッ!私語厳禁!」
「ハイッ!鬼軍曹!」

「では参りますよ!」


白澤様がいた方が『強烈に楽しい』ってなんか引っかかるなぁ・・・
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