第10章 神獣戯画
家の前に無事着地して、白澤様もヒトの姿に戻る。
「どう?楽しかった?じゃ、そろそろ寝ようか」
きっと叶わないであろうこの人の恋への切なさが感じられる。
その元凶は私なのに。
この人にとって、私は災厄と言ってもいいくらいかもしれない。
それなのに、ピンチの時には全力で助けてくれて、守ってくれて。
鬼灯様、ごめんなさい。今だけ、
ほんの少しだけ私の気持ちを白澤様におすそ分けしたいの
寝室に入って行こうとする白澤様を半ば強引に引き止め、
そのほっぺたにキスをする。
「え・・・・?」
ぽかんと顔を向ける白澤様に向かっておやすみを告げ、ダッシュで部屋に戻る。
そのまま布団に潜り込み、考える事の一切を出来るだけ止めて、私は強引に眠りについた。
一人残された白澤様の呟きは、私に届かなかった。
「・・・参ったなぁ~。これじゃあ諦めようにも諦めきれないよ」