第10章 神獣戯画
月明かりの下、私の手を掴みずんずん早足で歩いていく白澤様
なんか・・・怒ってるんだろうか?
「あ、あの白澤様・・・」
「なに?」
「痛いです」
「あっ・・・ご、ごめん」
掴んだ手が緩む
「こんな時間に勝手に外出てその・・・ごめんなさい」
「それは・・・仕方ないよ、あいつの所行きたかったんでしょ?」
振り返った彼の顔に怒りはなかった
「僕も、勝手に遊びに行ってごめん」
なんだか無理に笑ったような顔
「ね、歩くの疲れたでしょ?そろそろ薬の効き目も切れる頃だと思うんだけど」
「そうですね、実はさっきからちょっとだけ疲れが」
「じゃあさ、一気に帰る裏技があるんだけど、どうかな?」
「なんですか?それ」
「昨日言ったように、僕のこの姿は本当の姿じゃない。君には見せないようにと思ったんだけど、なーんかね。
どうせあの鬼神の普段見せない顔なんかを見てきたんでしょ?なら僕も見せちゃおうかなー、なんて」
照れるようにニコッと笑う白澤様
「じゃ、ちょっと離れてね」
言うが否や白澤様は白い煙に塗れた