• テキストサイズ

【鬼灯の冷徹】ダイアード災厄

第9章 地獄篇  R18


今、こんなにときめいているのに、こんなに満ち足りているのに


数日後には独りきりが待っている。


想いがこみ上げて涙が溢れてきた。


「っ・・・嫌でしたか?」



急に泣き出した私に狼狽する鬼灯様



「ちが・・・違うんです、私、鬼灯様の事大好きで、でもすぐ別れが来ちゃうんだなって、今こんなに幸せなのにもうすぐ独りになっちゃうんだなって、それで・・・それで・・・」


一度零れた涙はどんどん溢れて来る。


「大丈夫。貴方は独りきりじゃない。だから、もう泣かないで下さい」



溢れた涙を口付けで拭ってくれる鬼灯様。


あ・・・ここに来たときと一緒だ・・・



胸板で覆うように大きく抱きしめてくれた


伝わる暖かな鼓動は私の悲しみを溶かしてくれる




「笑ってください、私の為にも」

「・・・ぐす・・・じゃあ鬼灯様も笑ってくださいよ」

「私は面白いと思った時には素直に笑いますよ」

「見てみたいです」

「いつか見られるといいですね」


浴室を借り、シャワーで体を流す。



まただ。また来た時と同じ。
でも全然違う意味のドキドキ


時が止まっちゃえばいいのに


そしたら例え全部の問題が宙ぶらりんでも、
きっと幸せなのにな



浴室から出てきた私の身体をタオルで丁寧に拭いてくれる。


「さ、湯冷めしないようにちゃんと拭くんですよ」

あ、まただ。鬼灯様またお母さんみたいになってる


「正直惜しいですが、薬の事もあります。・・・門まで送りますよ」


心底名残惜しいといった風に、鬼灯様が呟き、帰る支度をする


廊下に出る寸前、ぎゅっと大きく抱きしめられて、


唇が触れあうだけの、優しいおやすみのキス。
/ 82ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp