第8章 実録、あの世ライフ
「明日から貴方にはたくさん楽しいことを見聞きしてもらいますよ。覚悟は良いですか?」
「はい、楽しみです。・・・でもその後の事を考えるとちょっと恐いです」
「心配いりません。清く正しく人生を全うしていただければ貴方はまたここに来ることが出来ます」
滝の飛沫で虹が弧を描く
飛んできた飛沫が霧状に顔に散る。
さすが養老の滝、お酒の味がする。
突然鬼灯様が私の顎をそっとつかみ、ねっとり囁く
「先の事なんか忘れるくらい楽しい事、しましょうよ。何なら、今からでも
」
鬼灯様の舌が私の頬を這う。
お酒にあてられた所為か、はたまた鬼灯様の所為か、体に熱が宿る。
そのまま唇を奪われ、抱きすくめられた。
食むように何度も唇同士を合わせ、唾液が混じりあう
一旦離れた唇同士から、細い糸があとを引く。
「貴方に秘密にしていた事があるんです」
「・・・何でしょうか」
「実は私、一度現世で槐さんにお会いしたことがあるんです」
鬼灯様が言うには数か月前、現世への出張の際の出来事だったそうだ。
「覚えていませんか?」
強く私を抱きしめながらぽつりつりと鬼灯様が語りだした。