第6章 錆びた扉の桃源郷 ※R15くらい
桃色の風の中で私と神様は踊るように進んでゆく。
片手だけつないだまま、離れないようにくるくる回ってみたり、
私の後ろに回った白澤様がそのまま私を操る様なしぐさをしてみたり。
お互いの調子に合わせてステップ踏んで。
普通に生きてたらこんな経験、きっと一生出来ないだろうなぁ。
「あ、見えてきたよ槐ちゃん!あそこが僕の家!」
指さした先にある、一件の家。
そしてその家の前に、豆粒ぐらいに見える黒い人影。
近づくにつれ、覚えのある輪郭がはっきり見えてきた。
「あっ鬼灯様だ!鬼灯様ー!!」
白澤様に肩を抱かれたまま、私は手を振る。
攫われてからあまり時間は経っていないはずなのに、ひどく懐かしい様に感じた