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【鬼灯の冷徹】ダイアード災厄

第6章 錆びた扉の桃源郷 ※R15くらい


「でも、こんなところにどうやって来てくれたんですか?」


崖の下を見下ろしながら私は白澤様に尋ねた。


「僕ね、実はこの姿は仮の姿なんだよ。元の姿に戻れば軽ーく飛べちゃうんだ。でも今はまだその姿を君に見せたくない。だって、もし恐がらせちゃったらかわいそうでしょ?ただでさえこっちに来てから恐い目ばっか会っているんだろうし。」


まっすぐ見つめられて思わず視線を落としてしまう。
そんな私の手をそっと取り、白澤様は続けた。


「そんなわけで、今から別の方法で帰るよ!ちょっと待っててね」


そう言い、もう片方の手で指笛を形作り、勢いよく鳴らす。

途端に桃の花が舞い、風が私たちを包んだ。



「桃の精にね、お願いしたんだ。僕たちを運んでくれるように、ってね」


ももの花びらに包まれてふわりと浮く私達。
そのまま宙を駆けるように進んでゆく。


「大丈夫、恐くないよ。でも、僕にしっかり掴まっていて」


肩からかけた白衣ごと片手で抱かれ、ちょっと恥ずかしいながらも私も少しだけ、白澤様の胴のあたりの服を掴む。


桃色の風をまとう白澤様は涼しげで、神聖なその横顔に思わず見とれてしまった。


自称神様のこの人は、本当に神様なんだと思った。
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