第6章 錆びた扉の桃源郷 ※R15くらい
「じゃあ、とりあえずここを出よう。大丈夫?歩ける?」
さりげなく支えの手が伸びる。
でもなんだろう、さっきの花蟷螂みたいな人とは違う、わざ
と隙を作るようなこの感じ。
もし私が嫌ならさりげなく離れられるような距離感。
ちょっと安心する。
「あー、そうだ。大事な事言ってなかったね。槐ちゃん、しばらく天国で過ごすって聞いてるんだけど?」
「はい、そうなんです。ちょっと事情があって。地獄は住みにくいだろうからって、鬼灯様が」
「うん、大まかな事情は聞いているよ。」
「えっ、そうなんですか」
「だって君、しばらく住まうっていう場所、僕の所なんだよ
」
「え!!!」
「最初は生者匿うなんてヤだったんだけど、それが女の子と聞いてね。しかもピンチだっていうじゃない。僕、さっきちょっと本気だしちゃった」
「本当に、ありがとうございます」
「いいのいいの!お礼は後で体で払ってね!」
この人、どこまで本気なんだろう。でも不思議と嫌な感じはしない。