第5章 花蟷螂 ※一応R指定
ぅん・・・甘い匂いがする・・・暑い・・・
徐々に意識を取り戻した私は、天蓋付きのしとねの上にいた。
ゆらめく蝋燭の炎に反射し、天蓋から下りた紗のビーズにちらちらと反射する。
香の煙がうっすらと立ち込める。
上体を起こそうとして、後ろ手に縛られていることに気が付いた。
そればかりか先ほどお茶に盛られただろう薬の所為かうまく体に力が入らない。
「意外に早いお目覚めですね
」
妖しい含みを帯びた男の声が、紗のカーテンの向こうから聞こえた。
「あの、これ解いて下さい、やめてください」
「先ほどのお話の続きをしましょうか?わたくしはね、その美しい貴方を、魂を、食べてしまいたいのですよ。さぞ美味
しいでしょうねぇ・・・」
カーテンを割って、男が私に覆いかぶさってくる。
「や・・・やだっ・・・」
身をよじるが、逃れられない。
「でもね、折角美しいんだもの、魂をいただく前にね、その体も美味しく頂戴したいのですよ・・・」
押し倒され、肌蹴た私の首筋を一筋、舌でなぞられる。
美しさで油断させ、捕えて捕食する。この人はまるで花蟷螂のよう。
その腕が私の着物に伸びた。