第5章 花蟷螂 ※一応R指定
突然、煙が巻き起こったと思えば槐さんをとりかこみ、そのまま宙へ飛んでしまった。
咄嗟に手を伸ばしたものの、強い妖力で弾かれてしまった。
「槐さん!」
手に持っている金棒を投げれば落とせるかもしれない。
でも、万が一槐さんにそれが当たってしまったら・・・
その躊躇の隙に煙は飛び去ってしまった。
今思い返せば、やはり投げておけば良かった。
冷静さを取り戻し、飛び去った方角を追う。
随分遠くを目指しているようだ。
でもこの方角は・・・。
「チッ」
私は小さな舌打ちをすると懐から携帯電話を取り出し、野蛮な漢人に電話を掛けた。
「喂!こちらうさぎ漢方極楽ま・・・ぁたお前かよ!来るならさっさと「いいから聞いてください。たった今、そちらへ連れて行く予定の生者が攫われました。おそらくは妖の類です。」
「はぁ?僕そういうの専門外だから!テメーの責任だろーが」
「いいえ専門です。理由は二つあります。」