第5章 花蟷螂 ※一応R指定
「わたくしがこのような真似をしてしまった理由、聞いていただけますか?」
「は、はい・・・」
「それは、貴方があまりに美しかったから・・・」
「えぇ!?」
唐突な言葉に私は声が詰まった。
それなりに普通ではあると思うけど、美意識の高そうなこの人御眼鏡に適う程の物では決してない。
ようやくそれを言葉にすると、彼は笑いを含んだ調子でこう返してくれた。
「もちろん、貴方の外見も美しい。でも、惹かれるんですよ。それ以上に美しい、アナタの魂にね。」
「貴方、今生と死の狭間で葛藤しているんでショ?ご両親を無くされた心の痛みに震えながら」
「なんで、知ってるんですか」
思わず立ち上がろうとした瞬間、眩暈のような眠気に襲われた。
たちまち体の力が抜けて行く。
目もあけていられない朦朧とした私の上から、彼の言葉が降りかかる。
「それはね、狙っていたからですよ。貴方が地獄に落ちた時から。あそこまではわたくしの力は及びませんが、貴方はもうわたくしの籠の中・・・・」