第3章 大きな朽ちた木の下で
「どうかされましたか?返事をしてください」
ふと我に返ると、脱衣所の方から声がする。
「大丈夫・・・でず・・・」
涙ながらに何とか返事をする。
「そうですか・・・?着替え、ここに置いておきます。とり急ぎ調達してきた物なので、サイズが合わないかもしれませんが、何もないよりはマシでしょう。」
脱衣所から気配が消えたので、涙を洗い流してタオルで顔と髪、体を拭く。
籐籠の中に用意された着替えを広げ、私は正直困惑した。
着物ってどうやって着たらいいんだろう・・・???
すると再度、扉の向こうから鬼灯様が声をかけてくれた。
「気に入りませんでした?」
「違うんです、あの・・・着方がわからなくて」
「チッ・・・これだから現代人は。」
聞こえるように舌打ちをした後、鬼灯様は口頭で指南してくれた。
言われる通りに袖を通して帯を巻くが、なかなか上手くいかない。
「わかりました。帯締めは私がやりますから出てきてください。」