第3章 大きな朽ちた木の下で
あ、ちょっと思い出して来たかも。
確か、家族で旅行に行こうとして、
それでどーなったんだっけ、楽しかったんだっけ。
あれ?思い出せない。
違う、行ってない?ううん、それも違う。
―そうだ、私、
行く途中に事故にあったんだ―
えぇとそれから、
それから、
・・・だめだ。ここまでしか思い出せない。
!?
お父さんとお母さん、どうなったんだろう!?
鬼灯様は私が生者って言ってたから、私は生きてる。
じゃあ、お父さんとお母さんは・・・?
どうしよう、寂しい、恐い、家族に会いたい
シャワーのお湯と、とめどなく流れてくる涙とが混じって浴室へ流れ続けた。