第3章 大きな朽ちた木の下で
「閻魔大王の所へ行く前に、まずその恰好を如何にかしないといけませんね」
そう言われて自分の体へ視線を落とすと、
服が血に塗れていた。
そうだ、さっきの・・・
光景が蘇り、気分が悪くなる。吐きそう。
鬼灯様曰く、先ほどの亡者はすぐまた体が再生するそうだけど、元々人間なわけだし、目の前で殺されるのはショックが大きい。
「大丈夫ですか」
小首をかしげ、鬼灯様は私の様子を伺う。
「地獄とわかっていても、やはり、ああいうのは」
「そうでしょうね」
「鬼灯様も、仕事となればあんな風に・・・するんですか?」
「えぇ。亡者相手には手加減はしません。我々獄卒は地獄へ堕ちた亡者を叱責するのが仕事ですから。」
「・・・そうですよね・・・」
「でも、あなたは生者です。私は貴方にあのような事はしませんし、他の者にもさせません」
「・・・貴方を、守ります」
「え、今なんて?」
「なんでもありません。さ、この部屋へ入ってください。」
促され、閉じた扉には鬼灯のマークが描かれていた。