第2章 勧誘
「あの……雨隠れは、まだですか?」
ゼェゼェと肩で息をしながらアオイは尋ねた。
「だから、まだだつってんだろ!つうかオメェそれ聞くの何回目だよ?目的地が自分から近づいて来ない限り、歩いた分しか進まねえんだよ、わかったかバーカ」
「全く、馬鹿は馬鹿同士少しは仲良くできんのか」
呆れて呟く角都。
「ソレどーいう意味だよ、角都」
「それどういう意味ですか、角都さん」
見事にセリフが被り、睨み合い、取っ組み合う両者。
その様子を微笑ましいと見守れる程心が広くない角都は、心底忌々しいという気持ちを込めて舌打ちをしたが二人に聞こえる筈もなく。
太陽は南中を過ぎ、傾き始めた頃だった。